2021.9.19
ここのところ連日GMのEV火災問題に関するニュースが飛び込んでくる。
CNNの記事から推測すると、現場は地獄の連続だと思われる。
https://edition.cnn.com/2021/09/18/cars/chevrolet-bolt-buybacks/index.html
どうも火災の真の原因は判明しておらず、したがって対策もなく、リコールをかけたもののユーザはいつまでに自分のくるまが直るかの情報も届いていない。
このような状況に、怒った一部のユーザは、車を買い戻してもらっている。ただし、そのプロセスが大変で、大量の書類を作成しなければいけないようである。ディーラにもユーザにもストレスがかかっている。もちろん一番地獄を見ているのはGMの担当者であろう。
実はGMは同じ問題で以前にもリコールを行っている。その時は、不適切な充電方法によりバッテリに想定外のストレスをかけたことが原因だとして、充電器のソフトウエアの改修を対策としている。ソフトウエアの改修のみだと、コンピュータをつないでソフトをダウンロードし、点検をするだけなので費用が少なくて済む。
その対策を行った後も火災が発生したのである。対策が有効でなかったということであるが、原因の特定が間違っていたということが敗因である。
自動車の発売前には、試作車を作り何年もかけて評価を行い、万全を期すわけであるが、その評価をすり抜けた問題が市場で出てきた訳である。簡単に発見される問題は早い段階で対処される。開発が進むとだんだん発生確率の低い問題が残る。このことが対策を難しくする。
車の開発にはおそらく百台以上の試作車が作られさんざん評価が行われ、火災の問題はなかった。いざ量産になり、1万台10万台になるとポロっと出てきたというわけである。
原因の究明は、設計的、製造的な様々な要因を分析することにより、比較的簡単に(複数の)候補をしぼることができる。問題は、それらの内どれが真の原因かを特定することが、特に発生確率の低い事象に対しては困難を伴うことである。
さらに、ここで問題になるのは、心理的な要因である。対策者はどうしてもコストが安くなる方向に向かおうとする心理的なバイアスがかかることである。
おそらくGMとLG(バッテリサプライヤ)の担当者は、一回目にそのような心理状態で一部希望的観測を交えて物事を判断したのであろう。
結果、大空振りでまた火災が発生してしまった。間違った対策のままさらに車が生産され被害が拡大してしまった。GMは、今回の142000台のリコールで2000億円の出費を覚悟している。実に一台当たり140万円となる。
もうGM/LGは同じ間違いをできない。慎重を期して、判断を行おうとしていると思われるが、あまり長引くと、オーナーがしびれを切らす。EVに戦略重心を移したGMにとってとてつもない打撃となることが間違いない。
しかし、最近の狂ったようなEV化への動きに対して、熱さましになったのではないかとも思う。
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